懐かしい気持ち。

ドキュメンタリー映画『バオバブの記憶』を見ました。

今にも動き出しそうな力強くうねり盛り上がった樹型。
大自然が作り出した美しい造形。
精霊が宿る神々の樹といわれるバオバブは、アフリカやオーストラリアに樹生する長寿の大木
です。
中には1000年以上も共生しているものもあり、
そこに生きるものたちの食用として、また御神木として安心を与える精神的な支えとして
訪れては去っていく過酷な日々を経て今なお動物や人間の営みを静かに見守り続けています。

宮崎にも、去川の大イチョウや清武の大楠、狭野神社の狭野杉など、樹齢500年1000年近くなる大木があります。

アフリカの村にあるバオバブ同様に、代々そこで暮らす人々と関わってきた歴史や変わることなく春になると緑の葉をつける大樹の生命力など、1000年以上も昔から繰り返されてきた事を想像するだけでとても不思議な気分になります。

映画では、伐採されバオバブが倒れたままならされた殺風景な土地に残った一本のバオバブと、隣に「住宅地バオバブが丘」なる看板が立ってる風景から始まります。
元来そこにあるバオバブなのに単体で看板とたたずむ姿はどこか見せ物のようで、とても悲しく印象に残るシーンです。
環境破壊はゆっくりと確実に進行しているのを感じます。

ゆっくりと時が進むバオバブと共生する村があり、その数百キロ先では山が削り取られてゴミが埋め立てられている地域が存在する現実。

去川の大イチョウや清武の大楠もアフリカのバオバブもある時から私達に言い続けてることでしょう『もう私もあなたも…』と。
いつの間にか時代が、私達のスピードが速くなり過ぎてフォローまで手が回らなくなったような気がします。

映画のシーンを思い返しながら、子供の頃みたいにもっと全てをゆっくりとじっくりと感じてみる事から始めようと思いました。

『バオバブの記憶』は宮崎キネマ館にて今週いっぱい上映中です。

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去川の大イチョウ(高岡町)